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カテゴリ:Works > 活動まとめ

PMUG来日公演まで、あと10日となりましたね!

 10年前の2004年は、PMGの次のアルバムの制作に注力していた年だと思われます。

「Speaking of Now」のツアーが終わった後の2003年4月、「そのツアーメンバー(Richard Bona, Cuong Vu, Dave Samuels等)と共にPMGのニューアルバムに向けたレコーディングをした」、というニュースは入ってきたのですが、その後情報がほとんど止まってしまったのでした。

「明らかにできないのだけど、みんなブッ飛ぶようなものになるよ」
「リリースは2004年内とだけ言っておこう」
(以上、Pat Metheny ジャズライフ2003年8月号インタビュー)

「まだ喋れることは少ないのだけど、今言えるのはすでに制作活動に入っている、ということ」
「とてつもなくクリエイティブなプロジェクトなんだ」
(以上、Steve Rodby ジャズライフ2003年8月号インタビュー)
「まだ制作過程にあるからまだあまり言い過ぎないように気をつけているんだけれど(笑)、あらゆる面において、これまでで最も野心にあふれた作品」
(以上、Pat Metheny ジャズライフ2004年2月号インタビュー)

上記はジャズライフでの2003/8と2004/2のインタビューのコメントなのですが、半年経っても発言内容があまり変わっていません(笑)。次のアルバムの凄さが「言葉では正しく伝えられない」という判断から、上記のようなコメントとなったのだと思いますが… 確かに今になって思えばこういう言い方しかできなかっただろうなぁ、とは思いますが、当時はファンにとっては意味がわからない上に長い間焦らされて、ワクワクすると同時になんともヤキモキしたものでした。
「2004年のほとんどはグループのアルバム完成のために時間を費やすことになるだろう」
「(レコーディングの)最後の10パーセントに90パーセント以上の時間がかかるような類のものだからね」
(ジャズライフ 2004年2月号インタビュー)
ニューアルバムは、上記コメントのとおり、とにかく長い時間をかけて編集され、制作されていったようです。2004年は、PMGのニューアルバムに向けた長い長い創作活動の日々だったようです。


一方で2003年から続けているChristian McBride, Antonio Sanchezとのトリオによるライブも、PMGのニューアルバム制作の合間の2004年6月〜7月頃に少し行われたようです。
「トリオは、インプロヴァイザーにとって、とても魅力的なフォーマットだ。それぞれの曲ごとに、ホーン奏者、ピアニスト、あるいはギタリストと、まったく異なったアプローチで弾くという楽しみがあるからね」(ジャズライフ2004年2月号 インタビュー)

「ギター・トリオ」というフォーマットにとても強い思い入れのあるPat Metheny。自身がそれまでに組んできたギタートリオの違いについて、Pat Methenyは次のようにコメントしています。
・ Jaco Pastrious, Bob Moses
→若くて未熟だったためBright Size Lifeにおけるサウンド以外の何物でもない

・Roy Haynes, Dave Holland  
→ジャズそのもの

・Charlie Haden, Billy Higgins
→Ornette Colemanのような感じを追求したもの 

・Larry Grenadier, Bill Stewart
→守備範囲が広くなったが、ジャズというプラットフォームからは外れないもの

・ Christian McBride, Antonio Sanchez
→これまでで最も守備範囲の広いトリオ。ストレートアヘッド、フリー、ロックと何でも可能。守備範囲が広いため、トリオのための新曲を書くのが本当に楽しい

(ジャズライフ2004年2月号インタビュー)
Christian McBride, Antonio Sanchezとのトリオ活動もとても充実したものだったようですが、前述のとおり進行中のPMGの大プロジェクトがあったため、このトリオ活動については、PMGのニューアルバム発表(2005年)の後に、またあらためてまとめを行うことになるのでした。

【参考音源】
<Lone Jack / Pat Metheny, Christian McBride, Antonio Sanchez>
3人でブッ飛ばしてます!


 
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PMUG来日公演まであと11日!

11年前の2003年というと、バリトン・ギターによるソロ・アルバム「One Quiet Night」がリリースされた年です。ただ、実際にこのアルバムの内容がレコーディングされたのは、2001年11月頃のようです。

ワン・クワイエット・ナイト
パット・メセニー(g)
ワーナーミュージック・ジャパン
2012-01-18



2001/11/24の夜、バリトン・ギターの3弦と4弦を1オクターヴ高くチューニングするというアイディアを思いついたパットは、自宅で2〜3時間かけて自分のリスニング用にいくつかの曲を録音しました。その曲をCDに焼いて「Speaking of Now」のツアー中に聴いているうち、自分でも演奏が気に入り周囲からもアルバム化を奨められたため、同じ環境でさらに数曲追加で録音を行って、CDとしてリリースしたそうです。

ギターのチューニングは、6弦から「A D G C E A」で、3弦と4弦は1オクターヴ高い状態になっています。
「ミドル・ギターがトップに、ハイ・ギターがミドルに、ロー・ギターがボトムにあるといった感じだね。(中略)普通のギターでは弾けないようなコードを、ものすごくクールなベース音とともに弾くことができる。これはギターの表現の可能性を大きく広げることになる。(ジャズライフ 2003年7月号インタビュー)」
「私は長年ギタリストとしてプレイしてきたけれど、自分ひとりでギターを延々と弾いているアルバムは作ったことがないし、作ることを考えたこともなかった。(中略)このアルバムのいいところは、ひとつの世界観に徹していることだと思っている(ジャズライフ2003年7月号インタビュー)」

「自分ひとりでギターを延々…」というと、1979年の「New Chautauqua」や1994年の「Zero Tolerance for Silence」があるんじゃない? と思ったりもするのですが、「New Chautauqua」はオーバーダブを主眼とした内容、「Zero〜」はひとつのトラックで弾いているものを他のトラックでもまったく同じように弾く「ミラーリング」という効果を狙った内容が中心となっているようです。
「One Quiet Night」は、確かにこれまでには無かったコンセプトのアルバムということなのだと思います。


さてさて、「One Quiet Night」の話を書いていると、2001年の話になってしまいますね…

2003年の活動としては、春にはCharlie Haden(b)との「Missouri Sky Duets」のショートツアーがあり、2003年の夏からは、Christian McBride、Antonio Sanchezとの新しいトリオによるツアーがスタートしました。年末にはこのトリオによる来日公演もありましたね。このトリオによるツアーは2004年も続きました。
<ご参考>
Pat Metheny Solo & Trio
(Pat Metheny, Christian McBride (b), Antonio Sanchez (ds))
2003/12/14(日)〜 2003/12/21(日) ブルーノート東京

そんなツアーの合間、実は2003年4月には、PMGの次のアルバムの制作がスタートしていたのでした。
「完成はずいぶん先のことになるし、明らかにできないことも多いけれど、みんなブッ飛ぶようなものになるよ(ジャズライフ 2003年8月号 インタビュー)」
9月頃にもツアーの無い時期があったようなので、おそらくその頃に次アルバムの仕上げをじっくりと行っていたのだと思われます。このようにして時間をかけて仕上げたアルバム、「みんながブッ飛ぶような」アルバムのリリースは、このインタビューの1年以上も先、2005年の初頭を待つことになるのでした…


【参考音源】
<Last Train Home / Speaking of Now Live in Japan>


<What Do You Want? / Antonio Sanchez - Michael Brecker - Christian McBride - Pat Metheny>
Metheny-Sanchez-McBrideのトリオにMichael Breckerが入っちゃった最強カルテット。2003年7月頃のドイツのジャズフェスと思われます。素晴らしい演奏です! 

 
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来日公演まであと12日〜!

2002年は、待ちに待った(←当時)PMGのアルバム「Speaking of Now」の発売された年でした。1997年の「Imaginary Day」の発表から、5年が過ぎようとしている頃でした。

パットは2002年のインタビューで、PMGのアルバムについて、各アルバム制作時に重視したテーマや、リリース時期によって「3部作」のような流れができていることなどについてコメントをしています。

『』内は重視したテーマ)

<(3部作タイトルは特に無し)>
・Pat Metheny Group (1978)
・American Garage (1980)
・Offramp (1982) →『エレクトロニクスの導入、シンクラヴィア。広範囲に渡る色彩を持ったサウンド』

音楽的リサーチのための3部作
・First Circle (1984)
・Still Life (talking) (1987)
・Letter From Home (1989)
→ファンの間では、この3枚は「ブラジル3部作」とよく呼ばれますが、本人はこの呼称は嫌いなようです。
「一体どこのブラジリアン・ミュージックのことを行っているんだ? と反発する気持ちを覚える(ジャズライフ2002年4月号)」

<それぞれに特定のテーマを設けた3枚>
・We Live Here (1995) →『ループの使用。標準的、ありきたりなビートを用いた上での表現』
・Quartet (1996) →『アコースティック楽器だけで他のアルバムのような色彩を表現』
・Imaginary Day (1997) →『グループと音楽的フォームの相関関係、基本的な前提に挑戦』


上記のような流れの中で、「Speaking of Now」は、次のようなテーマで創られてきたようです。
『Speaking of Nowはメロディに重きをおいたアルバム。人の頭と心の中に長い間刻み込まれるような根源的なメロディを奏でたかった(ジャズライフ2002年4月号)』

「Speaking of Now」には、カメルーン出身のリチャード・ボナとベトナム出身のクォン・ヴーが参加。とても国際色豊かなバンドとなりました。リチャード・ボナの担当は、なんとベースではなくてヴォーカルとパーカッション。クォン・ヴーの担当はトランペットとヴォーカル。
メロディアスな曲の中で、パットやライル、そしてクォン・ヴーが伸びやかにソロを歌いあげます。「Another Life」「You」「On Her Way」「Afternoon」といったヴォーカル曲におけるリチャード・ボナの存在感が、これまた圧倒的です。

「Speaking of Now」は2002年2月にリリースされ、その後ワールド・ツアーが行われました。来日公演は9月でした。
<ご参考>
・2002/9/18(水) 名古屋・愛知県厚生年金会館
・2002/9/19(木)、20(金) 東京・NHKホール
・2002/9/21(土) 大阪・厚生年金会館大ホール

【2002年にリリースされたアルバム】

Speaking of Now
Pat Metheny Group
Warner Bros / Wea
2002-02-14

 
Upojenie
Pat Metheny
Nonesuch
2008-10-07


Pieta
Milton Nascimento
Warner Spec. Mkt. UK
2008-01-13

 

【参考音源】
<Another Life / Speaking of Now収録 ヴォーカルにも注目>


<Wherever you go / Speaking of Nowより>
 

<Are You Going With Me? / Upojenie収録>

 
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来日公演まであと13日〜!

13年前の2001年は、PMGのニューアルバム(2002年リリースの「Speaking Of Now」)の制作に注力していた時期と思われます。

この2001年には、Pat Methenyがゲスト参加しているCharlie HadenやMichael Breckerのアルバムがリリースされていますが、これらのレコーディング自体は2000年12月だったようです。PMGのニューアルバム制作準備は2001年12月に始まったようですので、この準備に入る直前だったのではないでしょうか。
同じくゲスト参加しているMike Metheny, Richard Bonaのアルバムも、2001年にリリースされていますが、レコーディング時期はCDには記載されておらず不明です。(Richard Bonaはその後、PMGの2002年作「Speaking Of Now」に参加)


Nocturne
Charlie Haden
Umvd Labels
2001-05-08


Nearness of You-the Ballad Boo
Michael Brecker
Umvd Labels
2001-06-19

 
Close Enough for Love
Mike Metheny
3 Valve Music
2005-06-02


Reverence
Richard Bona
Columbia Europe
2001-09-11

 
 
【参考音源】
<Noche de Ronda / Nocturneに収録>


<Nascente / Nearness of You-the Ballad Bookに収録> 
 
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来日公演まであと14日〜!
 
14年前の2000年頃と言いますと、「99 -> 00」「Trio -> Live」というトリオアルバムがリリースされた時期でした。

Trio 99-00
Pat Metheny
Warner Bros / Wea
2000-02-07


トリオ→ライブ
パット・メセニー
ワーナーミュージック・ジャパン
2000-12-13



1998年の夏頃から、Larry Grenadier (bass)とBill Stewart (drums)とのトリオによるライブが始まりました。
このトリオ、当初は3〜4週間程度のギグをやって終わらせる予定だったそうですが、当初の想定より良い手応えがあったようです。1999年の夏には、まずこのトリオによるスタジオアルバム「99->00」がレコーディングされ(6週間のツアーの後、急遽レコーディングすることが決まったとのこと)、その後にはヨーロッパ、日本、全米でのツアーの様子を収めた、2枚組の「Trio -> Live」というアルバムまで作られるというとても重要な活動となっていったのでした。
<ご参考>
来日ツアーは1999年12月でした。
・1999/12/6〜1999/12/11 ブルーノート大阪
・1999/12/13〜1999/12/19 ブルーノート東京
<余談1> 
「99->00」には超スローな「Giant Steps」が収録されていますが、Larryのインタビューによると、3人はこの曲をこのレコーディングで初めて合わせたそうです。そして、アルバムに収録されているのはテイク1、つまり最初に合わせた演奏なんだそうです。いやスゴイ!
 
<余談2>
Pat Methenyは「Bright Size Life (1976)」という、ギター・トリオ・フォーマットによるアルバムで音楽キャリアをスタートさせたこともあり、この「ギター・トリオ」というスタイルには特別な思い入れがあるようです。このアルバム「Trio -> Live」でオープニング曲を「Bright Size Life」として、またラスト曲を新曲としたというのも、自分の音楽人生の縮図をそこに描こうとした結果だとのことです。

<余談3>
「99->00」というアルバムは、当初は「2BE3」というタイトルになる予定でした。(2B3という説もあり。数字とアルファベットによる記号的な意味合いと、”To Be Three”とのダブルミーニングになっているとのことだった)。ところが、すでに他のバンド(確かフランスのバンド)のバンド名やアルバムタイトルとして使われているということが後日判明して、「99->00」に変更となったようです。

そして、2000年の夏にはMichael Breckerとのスペシャルカルテットでの活動があり、その後2000年の年末ころから、PMGの次のアルバムの製作準備が始まったのでした。

【参考音源】
<Question and Answer / Pat Metheny, Larry Grenadier, Bill Stewart>
  


<Extradition / Michael Brecker, Pat Metheny Special Quartet>

Michael Brecker, Pat Metheny, Larry Goldings, Bill Stewartによるスペシャルカルテット。おそらく2000年の夏頃のライブと思われます。パットのソロ中のマイケルの温かい眼差しがたまりません。 

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