patweek.com

Since August 12, 1996

2014年09月

PMUG来日公演まで、あと7日!

7年前の2007年の活動を振り返ってみます。

2007年は「Metheny Mehldau」プロジェクトの第二弾として、アルバム「Quartet」が2007年3月に発売されました。

カルテット
ブラッド・メルドー パット・メセニー
ワーナーミュージック・ジャパン
2007-03-28



このアルバムは、2006年の「Metheny Mehldau」と同時期に制作されたものです。

2006年のPat MethenyとBrad Mehldauのプロジェクトは、作曲のペースが早くまたレコーディングも大抵1〜2テイクで完成という、たいへん早いペースで仕上がっていったそうです。結果として、Pat Metheny, Brad Mehldauによるデュオで12曲、さらにLarry Grenadier(b)とJeff Ballard(ds)を加えたカルテットで12曲も仕上がってしまったそうです(レコーディング期間はデュオ、カルテットそれぞれ3日ずつだったとのことで、これまた驚きです)。アルバム1枚だけにするのは惜しいとのことから、2枚組としてまとめ、リリースを2回に分けるということになったようです。

ちなみにこのアルバムに「Quartet」というタイトルが付いているため、こちらが全てカルテットでの演奏で、一枚目の「Metheny Mehldau」はデュオのアルバムなのかと思ってしまうのですが、実際は、「Metheny Mehldau」はデュオ8曲・カルテット2曲、「Quartet」は、デュオ4曲・カルテット7曲という構成になっています。

そしてこのカルテット編成でツアーをスタートさせました。
ツアーは2007年3月にUSから始まりました。同年9月には来日公演もありましたが、これがこのプロジェクトの最後を締めくくる一週間でした。
Pat Metheny / Brad Mehldau Quartet Japan Tour 2007
Pat Metheney(g), Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

9月22日(土) 水戸・茨城県立県民文化センター
9月23日(日) 仙台・宮城県民会館
9月24日(月・祝) 名古屋・愛知県厚生年金会館
9月26日(水) 27日(木) 東京・NHKホール
9月28日(金) 大阪・NHK大阪ホール
9月29日(土) 鎌倉・鎌倉芸術館 

上記のとおり9/29まで「Metheny Mehldau」は続きましたが、翌月の10/9からは、なんともう次のプロジェクトが始まりました! Christian McBride(b), Antonio Sanchez(ds)とのトリオによるライブ・ツアーがUSでスタートしたのです。このツアーは翌2008年7月まで続くことになります。それにしても、いったいどれだけ動いていないと気がすまない人なのでしょう!


…一方で2007年は、とても悲しい出来事がありました。
Michael Brecker(Sax)が約1年半にわたる闘病の末、2007/1/13にこの世を去りました。
亡くなる2週間前に録音したアルバムが「Pilgrimage」です。2007/5にリリースされたこのアルバムが、Michael Breckerの遺作となりました。

Pilgrimage
Michael Brecker
Heads Up
2007-05-22



【参考音源】
<Pilgrimage Session / Michael Brecker>
動画全体に満ちるこのなんとも言えない雰囲気… 関わる人全員が特別な想いでレコーディングに参加していたのではないでしょうか。

PMUG来日公演まで、あと8日!

8年前の2006年は、まず春に「Gary Burton Quartet Revisited」というプロジェクトがありました。

70年代のGary Burtonのグループに参加していたPat MethenyとSteve Swallow(b)に、Antonio Sanchez(ds)が加わったという強力なユニットです。
Pat MethenyとGary Burtonが一緒にツアーを行うというのは、Pat MethenyがGary Burtonのグループを脱退してから初めてのことだったようです。
このプロジェクトでは来日公演もありました。
<来日公演>
Gary Burton Quartet Revisited
2006/5/26(金)  名古屋ブルーノート
2006/5/27(土)〜6/3(土) ブルーノート東京
【参考音源】
<Fortunes Smiles>
動画が見つけられなかったのですが、演奏としてはこちらが当時のものではないかと思います。




2006年のもう一つの大きなトピックは、Pat MethenyとBrad Mehldauのデュオアルバム「Metheny Mehldau」のリリースでした。

Metheny Mehldau
Pat Metheny
Nonesuch
2006-09-14



この二人の共演のきっかけというのはあまり明確になっていないのですが(Pat Methenyも当時「よく憶えていない」というような発言をしていました)、インタビューによると、Brad Mehldauは12〜3歳くらいの時からPat Methenyファンであり、一方でPat MethenyもずっとBrad Mehldauのファンであったとのことから生まれたユニットのようです。

ピアノとギターの組み合わせによるデュオというのは珍しいと思うのですが、その難しさについてそれぞれこのようなコメントをしています。
「難しさのひとつは、両方の楽器ともコード楽器ということだ。要するに、それぞれが同時に複数の音を鳴らせるわけだから、注意を怠ると、濁ったような汚い音になりやすいということ。今回、このプロジェクトに着手する前に、このことについては、ふたりで話し合ったよ。(中略)とても本能的、かつ自然な形で、お互いのプレイをしっかり聴くことで、それは回避できたと思う。(Pat Metheny)」(ジャズライフ 2006年11月号インタビュー)
「Patの弾く音はダークなサウンドであることが多いことから、 ピアノの音量をいつもよりも抑え気味にすべきだと考えた(Brad Mehldau)」(ジャズライフ 2006年11月号インタビュー)

Pat Methenyのギターの音は、エレクトリックとアコースティックの音がブレンドされて出されていますが、このユニットのライブでは、特にアコースティック側の音がとても強かったように記憶しています。もしかすると上記のような濁りを回避するためのものだったのではないかと思っています(未確認…当時、ご本人にライブでのアコースティック音のことについてお聞きする機会があったのですが、「昔からやっているよ」というようことから違う話になってしまいました。もっと突っ込んで聞けば良かった…)。

【参考音源】
<Ahmid-6 / Metheny Mehldau>
このタイトルは、Pat夫人の兄の名前からつけられたそうです。


PMUG来日公演まで、あと9日となりました! いよいよ秒読みという感じですね!

9年前の2005年は、なんといってもアルバム「The Way Up」のリリースでしょうか。

THE WAY UP
Pat Metheny Group
Nonesuch
2005-01-31

 

68分間ノンストップで繰り広げられるPMGワールド! これまでにないスタイルの作品に、ファンは度肝を抜かれました。
形式的にパート1〜パート4の4パートに分かれていますが、曲としては切れ目のない一曲となっています。日本盤では約4分のボーナス・トラックならぬ「ボーナスパート(?)」が、パート3部分に挿入されています。

レコーディングのメンバーは、「Speaking of Now」ツアーの直後に行われたところからスタートしているため、同アルバムに参加していてたRichard Bona, Cuong Vu, David Samuelsがクレジットされています。また、新たにハーモニカでGregoire Maretが参加し、作品に新たな色合いを添えています。Gregoire Maretは、Casandra Wilsonバンドでの活躍がPat Methenyの目に止まり、スカウトされたようです。

アルバムのリリース後すぐに来日公演もありました。 
<2005年の来日公演>
2005/4/18(月) 名古屋 愛知厚生年金会館
2005/4/19(火) 広島 アステールプラザ
2005/4/20(水) 大阪 厚生年金会館 
2005/4/21(木)・22(金) 東京国際フォーラム・ホールA

ちょっと細かい話になりますが、この公演では確か、公演開始前に会場のBGMとして「The Way Up」の曲の最初の音である「ファ#」と「シ」の音がずっと鳴り続けていました。ライブのオープニングもその音に重ねるようにスタートしたように記憶しています。
この2音には少し暗めの色合いがあるような気がするのですが… この「音」と会場の「暗さ」と「ざわつき」とが相まって、いつも以上になんとも言えない高揚感に満たされていったような気がしました。

個人的によく考えるのが、この「ファ#」「シ」の音というのがポイントで、もしこれが半音高く「ソ」と「ド」だったら、なんとも軽くてズッこける音になったのではないかなぁ、ということです…  The Way Upの曲そのものも、原曲はEリディアンのようですが、もしFリディアンで始まるようだったら、かなり軽い音になるのではないかなぁ、などと思っています。(あくまでも個人の感想です (^^ゞ)
  

【参考音源】 
<Opening 〜Part1 / The Way Up>


PMUG来日公演まで、あと10日となりましたね!

 10年前の2004年は、PMGの次のアルバムの制作に注力していた年だと思われます。

「Speaking of Now」のツアーが終わった後の2003年4月、「そのツアーメンバー(Richard Bona, Cuong Vu, Dave Samuels等)と共にPMGのニューアルバムに向けたレコーディングをした」、というニュースは入ってきたのですが、その後情報がほとんど止まってしまったのでした。

「明らかにできないのだけど、みんなブッ飛ぶようなものになるよ」
「リリースは2004年内とだけ言っておこう」
(以上、Pat Metheny ジャズライフ2003年8月号インタビュー)

「まだ喋れることは少ないのだけど、今言えるのはすでに制作活動に入っている、ということ」
「とてつもなくクリエイティブなプロジェクトなんだ」
(以上、Steve Rodby ジャズライフ2003年8月号インタビュー)
「まだ制作過程にあるからまだあまり言い過ぎないように気をつけているんだけれど(笑)、あらゆる面において、これまでで最も野心にあふれた作品」
(以上、Pat Metheny ジャズライフ2004年2月号インタビュー)

上記はジャズライフでの2003/8と2004/2のインタビューのコメントなのですが、半年経っても発言内容があまり変わっていません(笑)。次のアルバムの凄さが「言葉では正しく伝えられない」という判断から、上記のようなコメントとなったのだと思いますが… 確かに今になって思えばこういう言い方しかできなかっただろうなぁ、とは思いますが、当時はファンにとっては意味がわからない上に長い間焦らされて、ワクワクすると同時になんともヤキモキしたものでした。
「2004年のほとんどはグループのアルバム完成のために時間を費やすことになるだろう」
「(レコーディングの)最後の10パーセントに90パーセント以上の時間がかかるような類のものだからね」
(ジャズライフ 2004年2月号インタビュー)
ニューアルバムは、上記コメントのとおり、とにかく長い時間をかけて編集され、制作されていったようです。2004年は、PMGのニューアルバムに向けた長い長い創作活動の日々だったようです。


一方で2003年から続けているChristian McBride, Antonio Sanchezとのトリオによるライブも、PMGのニューアルバム制作の合間の2004年6月〜7月頃に少し行われたようです。
「トリオは、インプロヴァイザーにとって、とても魅力的なフォーマットだ。それぞれの曲ごとに、ホーン奏者、ピアニスト、あるいはギタリストと、まったく異なったアプローチで弾くという楽しみがあるからね」(ジャズライフ2004年2月号 インタビュー)

「ギター・トリオ」というフォーマットにとても強い思い入れのあるPat Metheny。自身がそれまでに組んできたギタートリオの違いについて、Pat Methenyは次のようにコメントしています。
・ Jaco Pastrious, Bob Moses
→若くて未熟だったためBright Size Lifeにおけるサウンド以外の何物でもない

・Roy Haynes, Dave Holland  
→ジャズそのもの

・Charlie Haden, Billy Higgins
→Ornette Colemanのような感じを追求したもの 

・Larry Grenadier, Bill Stewart
→守備範囲が広くなったが、ジャズというプラットフォームからは外れないもの

・ Christian McBride, Antonio Sanchez
→これまでで最も守備範囲の広いトリオ。ストレートアヘッド、フリー、ロックと何でも可能。守備範囲が広いため、トリオのための新曲を書くのが本当に楽しい

(ジャズライフ2004年2月号インタビュー)
Christian McBride, Antonio Sanchezとのトリオ活動もとても充実したものだったようですが、前述のとおり進行中のPMGの大プロジェクトがあったため、このトリオ活動については、PMGのニューアルバム発表(2005年)の後に、またあらためてまとめを行うことになるのでした。

【参考音源】
<Lone Jack / Pat Metheny, Christian McBride, Antonio Sanchez>
3人でブッ飛ばしてます!


 

PMUG来日公演まであと11日!

11年前の2003年というと、バリトン・ギターによるソロ・アルバム「One Quiet Night」がリリースされた年です。ただ、実際にこのアルバムの内容がレコーディングされたのは、2001年11月頃のようです。

ワン・クワイエット・ナイト
パット・メセニー(g)
ワーナーミュージック・ジャパン
2012-01-18



2001/11/24の夜、バリトン・ギターの3弦と4弦を1オクターヴ高くチューニングするというアイディアを思いついたパットは、自宅で2〜3時間かけて自分のリスニング用にいくつかの曲を録音しました。その曲をCDに焼いて「Speaking of Now」のツアー中に聴いているうち、自分でも演奏が気に入り周囲からもアルバム化を奨められたため、同じ環境でさらに数曲追加で録音を行って、CDとしてリリースしたそうです。

ギターのチューニングは、6弦から「A D G C E A」で、3弦と4弦は1オクターヴ高い状態になっています。
「ミドル・ギターがトップに、ハイ・ギターがミドルに、ロー・ギターがボトムにあるといった感じだね。(中略)普通のギターでは弾けないようなコードを、ものすごくクールなベース音とともに弾くことができる。これはギターの表現の可能性を大きく広げることになる。(ジャズライフ 2003年7月号インタビュー)」
「私は長年ギタリストとしてプレイしてきたけれど、自分ひとりでギターを延々と弾いているアルバムは作ったことがないし、作ることを考えたこともなかった。(中略)このアルバムのいいところは、ひとつの世界観に徹していることだと思っている(ジャズライフ2003年7月号インタビュー)」

「自分ひとりでギターを延々…」というと、1979年の「New Chautauqua」や1994年の「Zero Tolerance for Silence」があるんじゃない? と思ったりもするのですが、「New Chautauqua」はオーバーダブを主眼とした内容、「Zero〜」はひとつのトラックで弾いているものを他のトラックでもまったく同じように弾く「ミラーリング」という効果を狙った内容が中心となっているようです。
「One Quiet Night」は、確かにこれまでには無かったコンセプトのアルバムということなのだと思います。


さてさて、「One Quiet Night」の話を書いていると、2001年の話になってしまいますね…

2003年の活動としては、春にはCharlie Haden(b)との「Missouri Sky Duets」のショートツアーがあり、2003年の夏からは、Christian McBride、Antonio Sanchezとの新しいトリオによるツアーがスタートしました。年末にはこのトリオによる来日公演もありましたね。このトリオによるツアーは2004年も続きました。
<ご参考>
Pat Metheny Solo & Trio
(Pat Metheny, Christian McBride (b), Antonio Sanchez (ds))
2003/12/14(日)〜 2003/12/21(日) ブルーノート東京

そんなツアーの合間、実は2003年4月には、PMGの次のアルバムの制作がスタートしていたのでした。
「完成はずいぶん先のことになるし、明らかにできないことも多いけれど、みんなブッ飛ぶようなものになるよ(ジャズライフ 2003年8月号 インタビュー)」
9月頃にもツアーの無い時期があったようなので、おそらくその頃に次アルバムの仕上げをじっくりと行っていたのだと思われます。このようにして時間をかけて仕上げたアルバム、「みんながブッ飛ぶような」アルバムのリリースは、このインタビューの1年以上も先、2005年の初頭を待つことになるのでした…


【参考音源】
<Last Train Home / Speaking of Now Live in Japan>


<What Do You Want? / Antonio Sanchez - Michael Brecker - Christian McBride - Pat Metheny>
Metheny-Sanchez-McBrideのトリオにMichael Breckerが入っちゃった最強カルテット。2003年7月頃のドイツのジャズフェスと思われます。素晴らしい演奏です! 

 

このページのトップヘ