前回、2月発売のニューアルバムの1曲め「On Day One」の試聴サイトをご紹介しましたが、

http://patweek.com/archives/1504702.html

この「On Day One」の最初のベースライン、何かに似ているような…

私は2曲思い出したのですが、まずひとつめは、「So May It Secretly Begin」(アルバム「Still Life (talking)(1987年リリース)」収録)です。

この曲は、Pat Methenyが1986年頃に、「クラーベ」(ラテン音楽で使われる3-2とか2-3のリズム)を発展させながら曲を創るライティングセッションというのをやっていたそうなのですが、その中で生まれた曲のようです。

テーマのメロディは4分音符中心で、とても簡単な曲のように聴こえるのですが、ベースラインが一拍半のリズムが基本形(クラーベ)になっていて、アクセントがオモテになったりウラになったりと行き来するために、とても不思議なウネリが生まれています。

「On Day One」のベースラインには、何かこの曲と似たものを感じます。

「So May It Secretly Begin」
 


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もうひとつは、「A Story Within A Story」(アルバム「Imaginary Day (1997年リリース)」収録)です。
この曲にはクラーベっぽいリズムの要素はほとんど無いように思えるのですが、ベースラインには「So May It Secretly Begin」に通ずるものがあるような気がします。
Pat Methenyの談によると、前述の「A Story Within a Story」や「5-5-7」(Letter From Home(1989年リリース)収録)の発展形という位置づけの曲だそうです。

今回の「On Day One」も、もしかすると、これらのさらに発展形なのかもしれません。

「A Story Within A Story」
テーマ部分はわりとシンプルに聴こえますが、「4/4を4小節+3/4を1小節」という変拍子となってます。



「5-5-7」
テーマ部分が「5/6+5/6+7/6」という変拍子にも関わらず、メロディはいたって普通に聴こえるという不思議な曲。



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面白いのが、上記の「So May It Secretly Begin」も「A Story Within a Story」も、最初のコードが「Cm」なんですよね。そんでもって今回の「On Day One」のテーマも、聴いた感じではCmでしょうか? いずれもC音から始まるベースラインとなっています。
この、キーへのこだわりにも何かポイントがあるのでしょうかね。



Still Life (Talking)
Pat Metheny
Nonesuch
2006-02-06


 
Imaginary Day
Pat Metheny Group
Warner Bros / Wea
1997-10-03






Letter From Home
Pat Metheny
Nonesuch
2006-02-06