PMUG来日まであと3日!

3年前の2011年の活動を振り返ってみます。

2011年は、アコースティック・ギターによるソロ・アルバム「What's It all about」がリリースされた年です。このアルバムはパットにとって初のポップスのカバー曲集。パットは、コンサートの前によくポップスの名曲を弾いてサウンドチェックを行っており、その際に収録アルバムを聞かれる事が多かったことなどがあり、いつかまとめたアルバムを出そう、と長年アイディアを温めていたそうです。

What's It All About
Pat Metheny
Nonesuch
2011-06-14



バリトン・ギターを中心に、ピカソギター、普通の6弦のギターなど、様々なギターによる演奏が収められています。バリトン・ギターによるソロ作品「One Quiet Night」は2001年に録音されたものですが(リリースは2003年)、それからちょうど10年経った後のレコーディングということになります。
当時のインタビューでは、こんなコメントをしています。
「『ワン・クワイエット・ナイト』は、バリトン・ギターの面白さ、難しさにはまって夕方日課にしていた練習を録音したものだった。(中略)でも本格的にバリトン・ギターの練習を始めたのは、あのアルバムを出してからだった。(中略)あの録音から10年近く経ったから、今作では上達している。」(ジャズライフ2011年8月号 インタビュー)
なんと。パットにも「上達」などという言葉があるのですね!!

それでは、2011年の活動をたどってみましょう。
2月 アルバム「What's It all about」レコーディング (1日間)
3月 Pat Metheny Trio (Ben Williams(b), Antonio Sanchez(ds)) (4日間)
5月 Gary Burton(vib), Steve Swallow(b), Antonio Sanchez(ds) + Jack Lee(g) (2日間)
6月 アルバム「What's It all about」リリース
9-10月 Pat Metheny with Larry Grenadier(b)  (27日間)
11-12月 Pat Metheny Trio (Larry Grenadier(b), Bill Stewart(ds))  (31日間)

2011年の後半は、Larry Grenadier(b)とのユニットが中心となっており、このLarryとの活動は2012年の初めまで続きます。

一方で、3月に4日間だけ、Ben Williams(b)とAntonio Sanchez(ds)とのトリオでの活動を行っているのが興味深いところです。
Ben Williams(b)については、2008年3月のジャズライフのインタビューで、このようなコメントをしています。
「若い世代のベーシストにも注目すべき人物はいる。(中略)最近プレイを聴いたBen Williamsという20歳か21歳という若さの素晴らしいベーシストらだ」(ジャズライフ 2008年3月号インタビュー)
パットはBen Williamsにはその頃から注目をしており、この2011年の春にAntonio Sanchez(ds)とともにトリオを組んでみて、感触をみていたのかもしれません(筆者の想像)。
また、この時のことを指しているのかどうかは不明ですが、2012年のインタビューではこのようなコメントもしています。
「彼(ベン)の存在を知らせてくれたのはクリスチャン・マクブライドだった。ベンはある時期クリスチャンに師事していたのだと思う。ある時、クリスチャンが私のトリオ・ギグに参加できないことがあって、私が『ベンはどうだろう』と投げかけてみた。そしてクリスチャンから太鼓判をもらったんだ。クリスチャンはなかなか厳しい人だから簡単に人を薦めたりしないのはわかっているし、私のトリオという特殊な環境への参加を認めるということは、それなりの腕を持った人物であるはずだ。結果としてベンは素晴らしい仕事をしてくれた」(ジャズライフ2012年8月号インタビュー)

Benは翌年から、パットにとってとても重要なベーシストとなっていきます。

【参考音源】
<Pat Metheny Introduces What's It All About>