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PMUGの来日公演、いよいよ明日となりました!
台風の影響が無いことを祈ります…

1年前の2013年を振り返ります。

2013年は「Pat Metheny Unity Band」での来日公演のあった年でした。
2012年の2月にレコーディングされ、6月からヨーロッパ・アメリカを中心に70数カ所のツアーを回ってきたPat Metheny Unity Band。2013年は5月に日本、その後6月にはブラジルでのツアーを行いました。
<Pat Metheny Unity Band 来日公演>
2013/5/21(火)〜5/26(日) ブルーノート東京
このUnity Bandでの公演でも、ステージ奥には「ミニ・オーケストリオン」が設置され、後半はバンドとオーケストリオンの共演がありました。この公演では、オーケストリオンのコントローラーとして、Moogのギターが使われていたことも印象的でした。

6月にはブラジル公演も終わり、「Pat Metheny Unity Band」としてのツアーは一段落したようです。
その後の資料からすると、おそらくこの6月のツアー直後に「Pat Metheny Unity Group」のレコーディングが行われていたと思われます。

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2013年にリリースされた作品としては、John ZornのMASADA楽曲を演奏した「TAP」が衝撃的でした。
まずひとり自宅スタジオでギターを片っ端から手に取り、曲を基にインプロヴィゼーションすることから始めたんだ。このシリーズのジョンの楽曲は非常に短く、ある曲は数コードという場合もあるし、数音という曲さえある。その曲のエッセンスを抽出して、そこから曲を生んでいった。(ジャズライフ2013年7月号インタビュー)
このようにオーバー・ダビングを重ねて作っていったそうで、作品が仕上がるまでに1年近くかかったようです。
オーバーダビングは、数えられる範疇を大幅に超えていて、自分でもわからない。ギターはスタジオに置いてあるものは全て弾いたから、20種類は弾いているね。うまくいったものは残し、また曲の先に進んでいくという作業を繰り返した。(中略)期間は1年間くらいかな。でもツアーの合間、自宅にいられるときに限定的に行ったから合計時間となると定かではないけれど。(ジャズライフ2013年7月号インタビュー)
他作品では聴くことのできない独特の質感のアルバムですが、上記のような状況を知ると、ある意味ではPat Methenyらしさの詰まった作品ともいえるかもしれません。

【参考音源】
<Mastema / Pat Metheny - TAP>



この年にリリースされた作品をリストしておきます。

The Orchestrion Project
Pat Metheny
Nonesuch
2013-02-12


 
La Noche Mas Larga
Buika
Warner Music Latina
2013-05-30


 (↓ Pat Methenyはクレジットされていないのですが、1曲演奏しているようです。Unity Groupで新たに加入したGiulio Carmassiは、Will Leeバンドでそのマルチぶりを発揮していましたが、このアルバムでも彼の演奏を聴くことができます)


 
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PMUG来日まであと2日!

2年前の2012年の活動を振り返ってみます。

まず年明けには、2011年の9月・10月にも行われた「Pat Metheny with Larry Grenadier(b)」プロジェクトのアジア・ツアーがありました。1月末には来日公演も行われました。
<An evening with Pat Metheny with Larry Grenadier ツアー>
2012/1/17(火)-19(木) ブルーノート名古屋
2012/1/20(金)-23(月) 25(水)-28(土) ブルーノート東京
2012/1/30(月) ニトリ札幌ホール
このツアーでは、ステージ上に「ミニ・オーケストリオン(?)」もセットアップされ、デュオによる演奏に加えて、デュオ+ミニ・オーケストリオンによる演奏も披露されました。

当時のセットリストは、わかる範囲で下記にまとめてありますが、毎ステージかなり違う曲を演奏していたことがわかります。この時には、天空の城ラピュタなども演奏されましたねー。

[Set List] An Evening with Pat Metheny with Larry Grenadier
http://patweek.com/archives/2012-01.html

このLarry Grenadierとのデュオ・プロジェクトは、2011年から続く長いプロジェクトでしたが、この1月のステージがツアーの最後の仕上げという形になったようです。

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そして2月に入り、いよいよ「Pat Metheny Unity Band」が結成される時が来ます。

2月8日・9日の二日間、ニューヨークでPat Metheny, Chris Potter(sax), Ben Williams(b), Antonio Sanchez(ds)によるライブが行われました。これがおそらく「Pat Metheny Unity Band」結成の時だったようです。Unity Bandのレコーディングは2月だったようですので、レコーディングのリハーサルのような位置づけだったのではないでしょうか。

そして6月には「Pat Metheny Unity Band」のアルバムが発表されます。

Unity Band
Pat Metheny
Nonesuch
2012-06-18


アルバム発表後の6月末からすぐに、「Pat Metheny Unity Band」の本格的なツアーが開始されました。10月までの5ヶ月間で実に74回にもわたるステージをこなし、このユニットとしての力を高めていったのでした。


【参考音源】
<Pat Metheny Unity Band Podcast>
 


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PMUG来日まであと3日!

3年前の2011年の活動を振り返ってみます。

2011年は、アコースティック・ギターによるソロ・アルバム「What's It all about」がリリースされた年です。このアルバムはパットにとって初のポップスのカバー曲集。パットは、コンサートの前によくポップスの名曲を弾いてサウンドチェックを行っており、その際に収録アルバムを聞かれる事が多かったことなどがあり、いつかまとめたアルバムを出そう、と長年アイディアを温めていたそうです。

What's It All About
Pat Metheny
Nonesuch
2011-06-14



バリトン・ギターを中心に、ピカソギター、普通の6弦のギターなど、様々なギターによる演奏が収められています。バリトン・ギターによるソロ作品「One Quiet Night」は2001年に録音されたものですが(リリースは2003年)、それからちょうど10年経った後のレコーディングということになります。
当時のインタビューでは、こんなコメントをしています。
「『ワン・クワイエット・ナイト』は、バリトン・ギターの面白さ、難しさにはまって夕方日課にしていた練習を録音したものだった。(中略)でも本格的にバリトン・ギターの練習を始めたのは、あのアルバムを出してからだった。(中略)あの録音から10年近く経ったから、今作では上達している。」(ジャズライフ2011年8月号 インタビュー)
なんと。パットにも「上達」などという言葉があるのですね!!

それでは、2011年の活動をたどってみましょう。
2月 アルバム「What's It all about」レコーディング (1日間)
3月 Pat Metheny Trio (Ben Williams(b), Antonio Sanchez(ds)) (4日間)
5月 Gary Burton(vib), Steve Swallow(b), Antonio Sanchez(ds) + Jack Lee(g) (2日間)
6月 アルバム「What's It all about」リリース
9-10月 Pat Metheny with Larry Grenadier(b)  (27日間)
11-12月 Pat Metheny Trio (Larry Grenadier(b), Bill Stewart(ds))  (31日間)

2011年の後半は、Larry Grenadier(b)とのユニットが中心となっており、このLarryとの活動は2012年の初めまで続きます。

一方で、3月に4日間だけ、Ben Williams(b)とAntonio Sanchez(ds)とのトリオでの活動を行っているのが興味深いところです。
Ben Williams(b)については、2008年3月のジャズライフのインタビューで、このようなコメントをしています。
「若い世代のベーシストにも注目すべき人物はいる。(中略)最近プレイを聴いたBen Williamsという20歳か21歳という若さの素晴らしいベーシストらだ」(ジャズライフ 2008年3月号インタビュー)
パットはBen Williamsにはその頃から注目をしており、この2011年の春にAntonio Sanchez(ds)とともにトリオを組んでみて、感触をみていたのかもしれません(筆者の想像)。
また、この時のことを指しているのかどうかは不明ですが、2012年のインタビューではこのようなコメントもしています。
「彼(ベン)の存在を知らせてくれたのはクリスチャン・マクブライドだった。ベンはある時期クリスチャンに師事していたのだと思う。ある時、クリスチャンが私のトリオ・ギグに参加できないことがあって、私が『ベンはどうだろう』と投げかけてみた。そしてクリスチャンから太鼓判をもらったんだ。クリスチャンはなかなか厳しい人だから簡単に人を薦めたりしないのはわかっているし、私のトリオという特殊な環境への参加を認めるということは、それなりの腕を持った人物であるはずだ。結果としてベンは素晴らしい仕事をしてくれた」(ジャズライフ2012年8月号インタビュー)

Benは翌年から、パットにとってとても重要なベーシストとなっていきます。

【参考音源】
<Pat Metheny Introduces What's It All About>

 
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PMUG来日公演まであと4日! この週末が明けたらもうすぐですね!

4年前の2010年は、1月にアルバム「Orchestrion」が発売され、そのツアーがメインの活動となる年でした。
Orchestrion
Pat Metheny
Nonesuch
2010-01-26


このプロジェクトの凄さは、CDを聴くだけではたぶんほとんど理解できないのだと思います。このライブで実際に動く楽器群を目の当たりにして、CDの中で起きていることの凄さを実感しました。

ライブ会場となったコンサートホールで、ステージ一面に並べられた楽器群の真ん中に一人立つパット。たくさんの楽器が自動で機械的に動いて曲を奏でたり、一本のギターによって音が重ねられながら、徐々にパットらしい音楽となっていく様子にはとても興奮させられました。それにしても、これらの楽器を運びながら世界中を回ってしまう、というこの企画のスケールの大きさにも脱帽でした。

ツアーは、2010年前半は1月末のフランスを皮切りに1〜3月がヨーロッパ、4〜5月がUS国内、6月はアジアにて行われました。来日公演は6月でした。
<Orchestrionツアー>
6月9日(水) 大阪・サンケイホールブリーゼ
6月10日(木) 名古屋・中京大学文化市民会館 プルニエホール
6月11日(金)・12日(土) 東京・すみだトリフォニーホール 
Orchestrionツアーは、この日本公演を終えたところで一段落。
その後いったん、6月末から7月末までは4人編成のPat Metheny Groupのツアーが行われ、10月に入ったところで、またあらためてUS国内にて約一ヶ月間「Orchestrion」のツアーが行われました。


このツアーでのハイライトは、その場で即興で音を重ねて曲を創りあげていった場面ではないかな、と思っています(その後発売されたDVDにおける「Improvisation #2」のような曲)。
機械仕掛けで動く楽器のハード部分と、コントロール信号を記録して重ねあわせられるというソフト部分の融合が、このプロジェクトの重要な2つのパートだと思いますが、それらをたっぷりと味わえる曲でした。東京公演の二日間では、ある程度進行は決まっていたようなのですが、重ねていく音のアイディアは異なるため、両日で少し違った仕上がりになっていたように思います。

【参考音源】
<Improvisation #2>
 

そういえば、この東京公演を観た時にものすごく興奮して、自分で演奏内容の分析もどきをしていたことを思い出しました。曲の構成もシステムの動きも、記憶もあいまいな中で想像しながら書いたものですので、間違ったことを言っているところもあるかもしれませんが、その後発表されたOrchestrion のライブDVDに収録された上記「Improvisation #2」を聴くと、わりと合っていたかもしれません(曲の構成がまったく同じというわけではありませんが)。半音違いのセットを作るなど、似たアイディアを基に演奏していたのではないかな、と思っています。

Orchestrion公演でのラスト曲を振り返る(その1)


あと、この時の演奏で忘れられないのが「Sueño con México」です。1979年のアルバム「New Chautauqua」に収められている曲ですが、2010年になってライブで聴くことができるとは思いませんでした。
「New Chautauqua」は、ギターの多重録音でつくられたアルバムですが、アルペジオを繰り返すことや音を重ねることなど、昔と今で技術の違いはありますが、目指す音の方向性は30年前からブレていないと言えるのかもしれません。

<Sueño con México>


 
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PMUG来日公演まであと5日! 5年前の2009年の活動ですが、

1月:ブルーノート東京・名古屋でのPMG公演
  →USにてLarry Grenadier(b)とのライブ(2日)
5月:Gary Burtonのアルバム「Quartet Live」発売!
(Gary Burton, Pat Metheny, Steve Swallow(b), Antonio Sanchez(ds))

クァルテット・ライヴ!
ゲイリー・バートン&パット・メセニー
ユニバーサルクラシック
2009-05-20


6月:「Gary Burton Quartet Revisited」ライブ(10日間)
8月:Pat Metheny, Larry Grenadier(b), Jack DeJohnette(ds)ライブ(3日間) 

と、数えるほどしかライブがありません。
また、この8月のトリオ以降は、いよいよまったくライブが行われなくなってしまいます。

さて、いったい何が起きていたのでしょうか…?(笑)
…そう、どうやらこの頃に、あの「Orchestrion」のプロジェクトが始まっていたようなのです。

その後のインタビューでパットは、次のようなコメントをしています。
「(Orchestrionが)本当に実現可能か、という疑念が常につきまとっていた。楽器がひとつも準備できていない状態でやると決意したんだ。(中略)2009年1月までにすべての楽器を揃えたかったけれど、揃い始めたのは3月頃。楽器が届いた時には少しはリラックスできたよ(笑)」(ジャズライフ 2010年2月号 インタビュー) 
このコメントと上記のスケジュールから推測するに、パットは日本でのPMGツアーを終えた後すぐに、この「Orchestrion」のプロジェクトに取り掛かろうとしていたのではないか、と思います。

いずれにしても、この2009年はこの「Orchestrion」のプロジェクトに、どっぷりとハマっていたようです。そしてこの8月から約半年の沈黙の後の2009/12/9、ニューヨークの古い教会跡で、あの衝撃の「Orchestrion」のプレス発表会が行われたのでした。


【参考音源】
<Orchestrion EPK / 確かこれが最初のプロモーション・ビデオだったと思います>


 
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PMUG来日まであと6日!

6年前の2008年は、Christian McBride(b), Antonio Sanchez(ds)とのトリオによる「Day Trip」と「Tokyo Day Trip」の2枚がリリースされた年でした。

デイ・トリップ
パット・メセニー
Warner Music Japan =music=
2008-02-06


Tokyo Day Trip: Live Ep
Pat Metheny
Nonesuch
2008-05-20


2004年頃の活動まとめでも触れましたが、このChristian McBride(b),とAntonio Sanchez(ds)とのトリオは、「守備範囲が広く、ストレート・アヘッド、フリー、ロックと何でも可能なトリオ(Pat談)」なのだそうです。

「Day Trip」と「Tokyo Day Trip」は、実際にレコーディングされた時期は2008年よりも少し前のようです。「Day Trip」は2005/10/19、「Tokyo Day Trip」の方は、CDには明記されていませんがブルーノート東京での録音とあることから、時期は2003/12/14〜21なのだと思われます。アルバムのリリースの順番とレコーディングの順番は時期としては逆のようです。

またこの2005/10/19のレコーディングは、もともとはCD化する予定もなく、たまたま一日ポッカリとスケジュールが空いた日に録音されたもので、それまでのライブ活動の記録という程度の感覚で自分用にレコーディングをしていただけのようです。録音時にもプレイバックをほとんどせず、淡々と何テイクかずつ記録していったとか。その音源を2008年頃にあらためて聴きなおしたところ、とても良い演奏だったのでリリースするという話が出てきて、この2008年のリリースとなったようです。



またこの年のもう一つのトピックは、年末から翌年始にかけておこなわれたPat Metheny Group来日公演でしょう!ブルーノート東京とブルーノート名古屋で演奏をしてくれました。
4人編成のPMGが間近で観られるという、とても贅沢なひと時でした。
2008/12/30, 12/31、2009/1/3〜1/8 ブルーノート東京
2009/1/9, 10 ブルーノート名古屋


そしてこの2008年はCharlie Hadenのアルバムへのゲスト参加もありました。
 
Family & Friends: Rambling Boy
Charlie Haden
Decca
2008-09-23




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PMUG来日公演まで、あと7日!

7年前の2007年の活動を振り返ってみます。

2007年は「Metheny Mehldau」プロジェクトの第二弾として、アルバム「Quartet」が2007年3月に発売されました。

カルテット
ブラッド・メルドー パット・メセニー
ワーナーミュージック・ジャパン
2007-03-28



このアルバムは、2006年の「Metheny Mehldau」と同時期に制作されたものです。

2006年のPat MethenyとBrad Mehldauのプロジェクトは、作曲のペースが早くまたレコーディングも大抵1〜2テイクで完成という、たいへん早いペースで仕上がっていったそうです。結果として、Pat Metheny, Brad Mehldauによるデュオで12曲、さらにLarry Grenadier(b)とJeff Ballard(ds)を加えたカルテットで12曲も仕上がってしまったそうです(レコーディング期間はデュオ、カルテットそれぞれ3日ずつだったとのことで、これまた驚きです)。アルバム1枚だけにするのは惜しいとのことから、2枚組としてまとめ、リリースを2回に分けるということになったようです。

ちなみにこのアルバムに「Quartet」というタイトルが付いているため、こちらが全てカルテットでの演奏で、一枚目の「Metheny Mehldau」はデュオのアルバムなのかと思ってしまうのですが、実際は、「Metheny Mehldau」はデュオ8曲・カルテット2曲、「Quartet」は、デュオ4曲・カルテット7曲という構成になっています。

そしてこのカルテット編成でツアーをスタートさせました。
ツアーは2007年3月にUSから始まりました。同年9月には来日公演もありましたが、これがこのプロジェクトの最後を締めくくる一週間でした。
Pat Metheny / Brad Mehldau Quartet Japan Tour 2007
Pat Metheney(g), Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

9月22日(土) 水戸・茨城県立県民文化センター
9月23日(日) 仙台・宮城県民会館
9月24日(月・祝) 名古屋・愛知県厚生年金会館
9月26日(水) 27日(木) 東京・NHKホール
9月28日(金) 大阪・NHK大阪ホール
9月29日(土) 鎌倉・鎌倉芸術館 

上記のとおり9/29まで「Metheny Mehldau」は続きましたが、翌月の10/9からは、なんともう次のプロジェクトが始まりました! Christian McBride(b), Antonio Sanchez(ds)とのトリオによるライブ・ツアーがUSでスタートしたのです。このツアーは翌2008年7月まで続くことになります。それにしても、いったいどれだけ動いていないと気がすまない人なのでしょう!


…一方で2007年は、とても悲しい出来事がありました。
Michael Brecker(Sax)が約1年半にわたる闘病の末、2007/1/13にこの世を去りました。
亡くなる2週間前に録音したアルバムが「Pilgrimage」です。2007/5にリリースされたこのアルバムが、Michael Breckerの遺作となりました。

Pilgrimage
Michael Brecker
Heads Up
2007-05-22



【参考音源】
<Pilgrimage Session / Michael Brecker>
動画全体に満ちるこのなんとも言えない雰囲気… 関わる人全員が特別な想いでレコーディングに参加していたのではないでしょうか。

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PMUG来日公演まで、あと8日!

8年前の2006年は、まず春に「Gary Burton Quartet Revisited」というプロジェクトがありました。

70年代のGary Burtonのグループに参加していたPat MethenyとSteve Swallow(b)に、Antonio Sanchez(ds)が加わったという強力なユニットです。
Pat MethenyとGary Burtonが一緒にツアーを行うというのは、Pat MethenyがGary Burtonのグループを脱退してから初めてのことだったようです。
このプロジェクトでは来日公演もありました。
<来日公演>
Gary Burton Quartet Revisited
2006/5/26(金)  名古屋ブルーノート
2006/5/27(土)〜6/3(土) ブルーノート東京
【参考音源】
<Fortunes Smiles>
動画が見つけられなかったのですが、演奏としてはこちらが当時のものではないかと思います。




2006年のもう一つの大きなトピックは、Pat MethenyとBrad Mehldauのデュオアルバム「Metheny Mehldau」のリリースでした。

Metheny Mehldau
Pat Metheny
Nonesuch
2006-09-14



この二人の共演のきっかけというのはあまり明確になっていないのですが(Pat Methenyも当時「よく憶えていない」というような発言をしていました)、インタビューによると、Brad Mehldauは12〜3歳くらいの時からPat Methenyファンであり、一方でPat MethenyもずっとBrad Mehldauのファンであったとのことから生まれたユニットのようです。

ピアノとギターの組み合わせによるデュオというのは珍しいと思うのですが、その難しさについてそれぞれこのようなコメントをしています。
「難しさのひとつは、両方の楽器ともコード楽器ということだ。要するに、それぞれが同時に複数の音を鳴らせるわけだから、注意を怠ると、濁ったような汚い音になりやすいということ。今回、このプロジェクトに着手する前に、このことについては、ふたりで話し合ったよ。(中略)とても本能的、かつ自然な形で、お互いのプレイをしっかり聴くことで、それは回避できたと思う。(Pat Metheny)」(ジャズライフ 2006年11月号インタビュー)
「Patの弾く音はダークなサウンドであることが多いことから、 ピアノの音量をいつもよりも抑え気味にすべきだと考えた(Brad Mehldau)」(ジャズライフ 2006年11月号インタビュー)

Pat Methenyのギターの音は、エレクトリックとアコースティックの音がブレンドされて出されていますが、このユニットのライブでは、特にアコースティック側の音がとても強かったように記憶しています。もしかすると上記のような濁りを回避するためのものだったのではないかと思っています(未確認…当時、ご本人にライブでのアコースティック音のことについてお聞きする機会があったのですが、「昔からやっているよ」というようことから違う話になってしまいました。もっと突っ込んで聞けば良かった…)。

【参考音源】
<Ahmid-6 / Metheny Mehldau>
このタイトルは、Pat夫人の兄の名前からつけられたそうです。


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PMUG来日公演まで、あと9日となりました! いよいよ秒読みという感じですね!

9年前の2005年は、なんといってもアルバム「The Way Up」のリリースでしょうか。

THE WAY UP
Pat Metheny Group
Nonesuch
2005-01-31

 

68分間ノンストップで繰り広げられるPMGワールド! これまでにないスタイルの作品に、ファンは度肝を抜かれました。
形式的にパート1〜パート4の4パートに分かれていますが、曲としては切れ目のない一曲となっています。日本盤では約4分のボーナス・トラックならぬ「ボーナスパート(?)」が、パート3部分に挿入されています。

レコーディングのメンバーは、「Speaking of Now」ツアーの直後に行われたところからスタートしているため、同アルバムに参加していてたRichard Bona, Cuong Vu, David Samuelsがクレジットされています。また、新たにハーモニカでGregoire Maretが参加し、作品に新たな色合いを添えています。Gregoire Maretは、Casandra Wilsonバンドでの活躍がPat Methenyの目に止まり、スカウトされたようです。

アルバムのリリース後すぐに来日公演もありました。 
<2005年の来日公演>
2005/4/18(月) 名古屋 愛知厚生年金会館
2005/4/19(火) 広島 アステールプラザ
2005/4/20(水) 大阪 厚生年金会館 
2005/4/21(木)・22(金) 東京国際フォーラム・ホールA

ちょっと細かい話になりますが、この公演では確か、公演開始前に会場のBGMとして「The Way Up」の曲の最初の音である「ファ#」と「シ」の音がずっと鳴り続けていました。ライブのオープニングもその音に重ねるようにスタートしたように記憶しています。
この2音には少し暗めの色合いがあるような気がするのですが… この「音」と会場の「暗さ」と「ざわつき」とが相まって、いつも以上になんとも言えない高揚感に満たされていったような気がしました。

個人的によく考えるのが、この「ファ#」「シ」の音というのがポイントで、もしこれが半音高く「ソ」と「ド」だったら、なんとも軽くてズッこける音になったのではないかなぁ、ということです…  The Way Upの曲そのものも、原曲はEリディアンのようですが、もしFリディアンで始まるようだったら、かなり軽い音になるのではないかなぁ、などと思っています。(あくまでも個人の感想です (^^ゞ)
  

【参考音源】 
<Opening 〜Part1 / The Way Up>


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PMUG来日公演まで、あと10日となりましたね!

 10年前の2004年は、PMGの次のアルバムの制作に注力していた年だと思われます。

「Speaking of Now」のツアーが終わった後の2003年4月、「そのツアーメンバー(Richard Bona, Cuong Vu, Dave Samuels等)と共にPMGのニューアルバムに向けたレコーディングをした」、というニュースは入ってきたのですが、その後情報がほとんど止まってしまったのでした。

「明らかにできないのだけど、みんなブッ飛ぶようなものになるよ」
「リリースは2004年内とだけ言っておこう」
(以上、Pat Metheny ジャズライフ2003年8月号インタビュー)

「まだ喋れることは少ないのだけど、今言えるのはすでに制作活動に入っている、ということ」
「とてつもなくクリエイティブなプロジェクトなんだ」
(以上、Steve Rodby ジャズライフ2003年8月号インタビュー)
「まだ制作過程にあるからまだあまり言い過ぎないように気をつけているんだけれど(笑)、あらゆる面において、これまでで最も野心にあふれた作品」
(以上、Pat Metheny ジャズライフ2004年2月号インタビュー)

上記はジャズライフでの2003/8と2004/2のインタビューのコメントなのですが、半年経っても発言内容があまり変わっていません(笑)。次のアルバムの凄さが「言葉では正しく伝えられない」という判断から、上記のようなコメントとなったのだと思いますが… 確かに今になって思えばこういう言い方しかできなかっただろうなぁ、とは思いますが、当時はファンにとっては意味がわからない上に長い間焦らされて、ワクワクすると同時になんともヤキモキしたものでした。
「2004年のほとんどはグループのアルバム完成のために時間を費やすことになるだろう」
「(レコーディングの)最後の10パーセントに90パーセント以上の時間がかかるような類のものだからね」
(ジャズライフ 2004年2月号インタビュー)
ニューアルバムは、上記コメントのとおり、とにかく長い時間をかけて編集され、制作されていったようです。2004年は、PMGのニューアルバムに向けた長い長い創作活動の日々だったようです。


一方で2003年から続けているChristian McBride, Antonio Sanchezとのトリオによるライブも、PMGのニューアルバム制作の合間の2004年6月〜7月頃に少し行われたようです。
「トリオは、インプロヴァイザーにとって、とても魅力的なフォーマットだ。それぞれの曲ごとに、ホーン奏者、ピアニスト、あるいはギタリストと、まったく異なったアプローチで弾くという楽しみがあるからね」(ジャズライフ2004年2月号 インタビュー)

「ギター・トリオ」というフォーマットにとても強い思い入れのあるPat Metheny。自身がそれまでに組んできたギタートリオの違いについて、Pat Methenyは次のようにコメントしています。
・ Jaco Pastrious, Bob Moses
→若くて未熟だったためBright Size Lifeにおけるサウンド以外の何物でもない

・Roy Haynes, Dave Holland  
→ジャズそのもの

・Charlie Haden, Billy Higgins
→Ornette Colemanのような感じを追求したもの 

・Larry Grenadier, Bill Stewart
→守備範囲が広くなったが、ジャズというプラットフォームからは外れないもの

・ Christian McBride, Antonio Sanchez
→これまでで最も守備範囲の広いトリオ。ストレートアヘッド、フリー、ロックと何でも可能。守備範囲が広いため、トリオのための新曲を書くのが本当に楽しい

(ジャズライフ2004年2月号インタビュー)
Christian McBride, Antonio Sanchezとのトリオ活動もとても充実したものだったようですが、前述のとおり進行中のPMGの大プロジェクトがあったため、このトリオ活動については、PMGのニューアルバム発表(2005年)の後に、またあらためてまとめを行うことになるのでした。

【参考音源】
<Lone Jack / Pat Metheny, Christian McBride, Antonio Sanchez>
3人でブッ飛ばしてます!


 
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